私は顎先が左に流れていますこれは改善しますか?
顎先の歪み(流れ)は改善可能か?
専門家が解説する原因とアプローチ
「鏡を見ると、顎先が左右どちらかに流れている気がする」「顔のバランスが左右非対称で気になる」—このような顎先の歪み(流れ)に関するお悩みは、多くの方が抱えています。
結論から申し上げると、その原因とメカニズムを正しく理解し、適切なアプローチを行えば、顎先の歪みは十分に改善が期待できます。
ここでは、顎の歪みが生じる構造的な理由と、専門的な施術での改善策について詳しく解説します。
顎先の歪み、その原因は「顎関節の機能不全」にある
顎先の歪みには大きく分けて「下顎骨自体の変形(奇形)」と「顎関節の歪み」の2つの理由が考えられます。
事故や骨折、あるいは先天的な発育不全による骨自体の変形でない限り、多くの場合、顎先の歪みは骨そのものの問題というより、顎関節の機能的な問題、つまり「顎関節の左右不一致」によって引き起こされています。
1. 複雑な動きをする「顎関節」の構造
顎関節は単に開閉するだけでなく、非常に複雑な動きをしています。
- 軸関節としての動き:口を通常開ける際の動き。
- 転がり運動:さらに大きく口を開ける際に入る動き。
この開閉に加え、わずかながら左右への動きもあります。これらの動きは、靭帯や筋肉によって緻密に制御されています。また、関節の動きをスムーズにサポートするために、クッションのような役割を果たす関節円盤(軟骨組織)が存在しています。
顎関節の歪みは、これらの構成要素のいずれか、または複合的な問題として発生します。
- 骨自体の問題:稀なケース。
- 軟部組織の問題:靭帯、筋肉、関節円盤などの組織の異常。
- 神経の問題:これらの動きを統合する神経系の機能不全。
専門的な検査では、これらの原因を一つひとつ丁寧に特定し、最適な解決策を探っていきます。
2. 日常の習慣が引き起こす「下顎骨」のズレ
専門的な問題に加え、日々の習慣による継続的な負荷が、顎関節を歪ませ、結果として顎先を流す(ズレさせる)大きな要因となります。下顎骨は動きやすい骨であるため、以下のような力が継続的に加わると、容易に歪んでしまいます。
- 頬杖(ほおづえ):片側に強い圧力がかかり続けることで、顎が歪む最大の原因の一つです。
- 片噛み(かたがみ):硬いものを片側だけで噛む習慣は、そちら側の顎関節に過度な負担をかけ、顎が下がり気味になったり、左右のバランスが崩れたりします。
- うつ伏せ寝:寝ている間に顔や顎に圧力がかかり、歪みの原因となることがあります。
顎先の歪みを改善するための専門的なアプローチ
顎先の歪みを改善するためには、顎関節への調整と、原因となる習慣の改善を並行して行うことが不可欠です。
1. 根本原因の特定と調整
まず、初回のカウンセリングで、お客様の歪みの根本原因が「頬杖」「片噛み」「うつ伏せ寝」といった生活習慣のどこにあるのかを特定します。特に下顎骨の歪みの場合、これらの習慣が原因であることが非常に多くみられます。
次に、顎関節の動き(開口、転がり、左右の動き)を詳細に検査し、顎関節自体の機能的な不一致を専門的な手技で調整していきます。
2. 習慣の改善と協力が改善の鍵
せっかく調整を行っても、原因となる習慣を改善しなければ、顎は再び歪んでしまいます。
施術者が顎関節と下顎骨の歪みを整えるのと同時に、お客様ご自身には、特定された歪みの原因を可能な範囲でやらないように努めていただくことが、改善の絶対条件となります。
- 頬杖を止める。
- 片噛みを意識して避ける。
- うつ伏せ寝を避ける。
これらの生活習慣を改めることで、顎の流れ(歪み)は十分改善していくことが期待できます。顎の歪みは、体全体の歪みとも関連することが多いため、全身のバランス(背骨や骨盤)を含めた調整を行うことで、より安定した状態へと導くことが可能です