当たり前に生きる
健康に生きるとは当たり前のことを、当たり前のように過ごせばいいということです。では当たり前とはどういうことでしょうか。自分がしたいことをし、自分が欲するものを食べ、自分がしたいように暮らしていく事です。では皆さんはこの様に生きてきて、健康で楽しい毎日を過ごしているはずではないでしょうか。
世の中には、好きなように生き、天寿を全うし素晴らしい人生を送った人もいます。しかし大部分の人は好きなことをしているけれど健康ではない、人生途中で病気になってしまったという人が多いのではないでしょうか。では天寿を全うできる人と、途中で挫折する人との違いは一体なんなのでしょう。それはたぶん前者は自分に忠実に生き、後者は自分に忠実に生きている振りをしているということではないでしょうか。
私たちは普通自分の好きな物を、好きなだけ食べているように思っていますが、本当に身体に必要なものを、身体に必要なだけ食べているとはいえません。食事に限らず睡眠や運動においても、流れにまかせて知らない間に、受け身になっている事が多いのではないでしょうか。
私たちには五感(触覚・視覚・味覚・聴覚・臭覚)という感覚器官があります。この感覚をフルに使っていたのは、遠い昔まだ文明が発達していなかった時代だけかもしれません。私たちは文明という便利さと引き換えに、素晴らしい才能をタンスの奥へ、しまい忘れてしまったのではないでしょうか。
からだのメッセージを聞く
多くの人たちは「からだ」について、まるで生きた機械のように考え、油でも差すがごとく薬や医療を注入すれば、健康になると信じています。普段病気でもし ない限り、「からだ」を意識することなく、自分の「からだ」でありながら、からだの立場になって考えることなど、ほとんどなかったのではないでしょうか。
「からだ」 の立場に立って、一度じっくりと耳をすまし「からだ」のメッセージを受け止めてみませんか。痛みや不快な症状というのは「からだ」の内側から発せられる注意 信号なのですから……。 私たちの「からだ」は自然の一部であり、一つの小宇宙です。皮膚に包まれた内側でミクロレベルの生と死とを、繰り返 しながらうごめいている生命体なのです。
つまり病気(痛み)とは決して悪でもマイナスでもなく、それ自体が一つの自然の営みであるにすぎません。「からだ」 自身の持つ自浄作用に身をゆだね、そのプロセスに深く感謝をし、少しでも快適な状態に近づけるように「からだ」の教えを素直に受け入れることが大切です。
むしろ病気が自分の生活上の歪みを、気づかせてくれたことを喜ぶことです。 頭の中で「こうあるべきだ」という考えにしばられて生きていくと、自然のプロセスを知らず知らずのうちに、拒否してしまうということになります。「からだ」という自 然の言い分を実感し、心と身体のバランス感覚を大切にして、すばらしい『生命』をエンジョイしていきましょう。
バランス健康法概論
人間の身体一つを例にとってみても、左右のバランス、上下のバランス、前後のバランスが良い悪い等々、様々な言い方ができます。健康塾のコンセプトであるバランス健康法とは、部分部分のバランスから身体全体の調和まで、総合的な見方で考えていこうとするものです。
身体の部分からいいますと、自分の癖や、生活慣習により決まったパターンで身体を使う習慣があるとします。特定の場所ばかり使っていると筋肉に癖ができ、コリとなり前後左右のアンバランスを作り、最終的には骨格を歪ませる原因にもなります。
そのような表面(身体)的な歪みに対して、運動分析(動きながら自分の身体の状態を考える)により今のからだの状態を把握していきます。 例えば右ばかり使う人は、左も使うとか。座ったままの人は、立ったり動いたりしようとか。
当たり前のことをやるだけです。ただここで考えていただきたいのは、“座ったままということの反対は何だろうか”ということです。簡単考えると、座る立つ、ということですが、座る作業を静止と考えると、座る 動く、ともいえます。
同じ座るでも正座とあぐらでは、足や腰にかかる負担の状態が異なります。椅子に座ることによりまた条件が変わってきます。一つの状態でもこのように細かく分析していくと個々に変化が出てきます。
心身のバランス
性格(心)の部分でいうと、例えば几帳面な性格な人がいるとします。“色々なことをきっちりする”ということで今まで暮らしてきた時、周りの人が同じような人の場合はいっこうに問題はないのですが、世の中そうはうまくいきません。ルーズな人や物事にあまりこだわらない人達もたくさんいます。
そんな中で暮らしていくと几帳面の人は、益々ストレスがたまってイライラしてきます。それは精神衛生上良いことではありません。そんなとき周りの人たちが、きっちりした性格になれば良いのですが、なかなかそう思い通りには事が運びません。 このような方は他人に厳しく、また自分にも厳しいという方が多いようです。
では、どうすれば良いか。他人に性格を変えてもらうということは、至難の業です。今できることは何か、自分の見方を変えることです。それではどのように変えれば良いか。その時にバランス健康法を応用していただければ良いのです。 例えば、“自分に厳しい”厳しいの反対は、厳しい優しい。というふうに考え方を推し進めていくのです。ただ自分の考え方を変えていくのは、そう簡単にはいきません。
性格というのはなかなか変わるものではありません。しかし性格をすべて変えてしまうという方法を取らなくても、周りの人と円滑にやっていく方法はあります。このような方法を考えていくのが、バランス健康法の一つのテーマです。その時、自分の性格を把握している人は、その(考え方を変えていく)出発点にいるといえますが、自分自身のことがまだ解かっていない人は、スタートライン(自分さがし)に駒を進めていく事から始めましょう。
心身のバランスということは、本質的には“心と身体”は分けて考えませんが、今回は便宜上、心身を分けて考えていくこともやってみます。最終的には心も身体も一つ、『心身一如』と理解していただければと思っています。